第12回 起業開業その9 会社か個人か

◇会社か個人か

起業開業するにあたり、「会社」を設立するのか、「個人」
として事業を始めるのか、必ず迷うところです。

どちらを選択するかは、それぞれのメリット・デメリットを
考慮して判断することになります。

・開業手続きが難しいか
 
個人であれば誰でも事業を開始する事ができます。
提出すべき事業開始届けを役所に提出するだけです。
従って、明日からでも事業を始める事ができます。
 
会社は登記所に「登記」しなければ社会的存在として認めら
れません。会社設立の書類を作成して登記申請します。
印紙代や書類作成などの諸費用が必要になります。
登記が完了するまでに一定期間の日数がかかります。
会社登記が完了できるまでは開業の準備しかできません。

・事業上の債務にどこまで責任を負うか

個人事業では事業資金の借入れや取引の損害賠償などリスク
のすべてを個人が負うことになり、最悪の場合には個人の財
産で返済しなければなりません。

株式会社は出資の範囲でしか責任を負わない「有限責任」で
すので、事業に失敗しても個人の財産をつぎ込む必要はあり
ません。(そうは言っても、銀行借入にあたり経営者の連帯
保証が求められるので、有限責任とは言い難いですが…。)

・社会的信用が認められるか

わざわざ手間をかけ、資本金を用意して「会社」を作るので、
一般的に会社の方が社会的に信用されている現実があります。

そのメリットには、

必要な事業資金を「資本金」として調達することができます。
資本金は返済や利払いをする必要がない資金であり、長期間
の投資に最適です。

会社が借入するにあたり、担保以外に経営者の資質やビジネ
スモデル、将来性も審査の際に考慮されます。
しかし、開業当初は過去の実績が無い点では個人と同じです
ので、特に会社の方が有利ということはありません。

取引先の会社によっては個人とは取引しない会社もあり、取
引口座を確保するために「会社」を設立するケースもありま
す。

従業員の採用も「会社」の方が有利なようです。

・金銭的にどちらが得か

『税金』
個人は自分に給料を払うことが出来ません。
売上−原価・経費=利益になり、この利益に課税されます。

会社は役員である経営者に給料を支払います。
売上−原価・経費−経営者報酬=利益です。

同一の条件ならば、経営者報酬の分だけ個人より会社のほう
が利益が少なくなり、納税額が少なく見えます。
さらに家族従業員に給料を支払うことで所得を分散すること
もできます。

しかし、給料には個人の税金が課税されますので、会社+個
人の税金全体で判断する必要があります。

細かな説明は省きますが、会社の利益がゼロになる状態であ
れば、「個人の事業所得」と「経営者報酬などの給与所得」
の税負担額の比較です。


『運営経費』
税金だけなら会社の方が有利ですが、運営経費の面では「会
社」の方がコストがかかります。
 赤字でも常に払う税金(均等割り)がある
 青色申告特別控除が無くなる
 申告書が難しいので会計事務所への顧問報酬が必要になる
 税務調査の回数が増える
 従業員を雇用すると社会保険へ加入する義務がある など

この様に、メリットもあればデメリットもあるので、個人に
するか会社するかは、運営経費も考慮して判断して下さい。

一般的に個人の事業所得が700万円くらいになると、会社にす
るかどうか有利不利を判断する目安とされています。

例えば、コストのかからない個人事業から始めて、2年ほど
で儲けが出るようになったら、法人化を考えるでも良いかも
しれません。
いずれにしても、個々人の事情によって判断して下さい。

また、法人には「株式会社」形態のほかに、「LLC」の合
同会社、「LLP」の有限責任事業組合の形態もあります。
ケースによっては、会社でないほうが都合の良いこともあり
ますので、必要がある都度、判断して下さい。


Posted by 門倉和博 at 2009.11.11



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